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プロデューサー日記番外編 風雲竜虎編

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いやはや、大変な週末であった。

時間がないので事実関係のみ中心に。

26日金曜日。
未来シアターの稽古が、小返しなどになったのでコンテナ劇場での「家」運営に入ることにする。
稽古前に、翌日の「男メリー」用の道具である和箪笥をZAIMから車に積み込み移動。
雨。
俳優座鎌田さんと共に受付後、公演を拝見。
岩崎加根子さん主演の老兄弟姉妹たちの物語。
テントを打つ雨音にも負けずに進む。
公演後は急いでZAIMに戻る。
終了後は、関内がーどした。吉田橋のパーキングに駐車。
テーブルに車輪がついている。おでんの屋台みたいなのをイメージしてるのかな。面白い。
今日はスタッフさんたちはお帰りになったので、久々に飲み会に参加した黒澤さんを囲む会ということにしてみる。ウーロン茶とコーラ。
寺十たちを降ろして帰還。

27日土曜日。
朝から雨でテントがやばい昼間のフリンジ7を中止にするのかどうかという電話で車を飛ばしてコンテナ劇場。
車で急いで乗り付けると、既に「男メリー」のリハでスタンばっていた寺十がちょっとだけ笑った。あとで「あまりにすごい勢いで気分だけは西部警察みたかった」と笑っていた。
おそらく風で緩んだ一角に負荷がかかったのであろうか、コンテナのない弱い部分の雨よけに雨水がたまりにたまってたわんでしまっている。
スタッフ陣がのぼったりしてくみ出し作業。5秒で全身ずぶ濡れになる。
しかし、あるきっかけで、屋根の一部に穴があき、雨水が流れ込み始める。
この瞬間、「ここでは無理だ」と確信。視界に寺十が入ったので、未来シアターが2箇所使っている稽古場を使わせてくれというと「もちろんだ」との答え。
事態は動き出す。
SHOW MUST GO ON
参加団体主催者を集めて、この事態なのでZAIM別館401での緊急移転開催を了承してくださいとお願い。北海道から来てくれたグループも含めて皆さん、快くOK。ミッション開始。こうなったら雨や屋根は舞台監督の佐藤さんに任せて、一宮さんに観客と参加者を移動させるタクシー会社の手配と受付対応を頼んで、私は寺十と第1グループの風蝕異人街のメンバーを車に乗せてZAIMへ。
地下で作業しているメンバーに事情を話すと寺十の指揮のもと荷物の移動などすぐに動き出してくれる。ZAIMの方々などずぶ濡れの私を見て驚かれる。
私はコンテナにとって返して、風蝕のメンバー、東京ミルクホールのメンバーと道具類、早めに到着していたお客様方を何度か往復して運び続ける。会場への案内は、シゲや和尚をはじめトゥーランドットの稽古に来ていた東にも手伝ってもらったりする。
現場はもちろん、電話案内をしてくれる事務局の国松さんや参加者にも観客の移動時間も考えて全体30分押しで進行することを告知。
12時ギリギリまで人を運んでから受付設営。
ここで肝心の我々の和箪笥を積んできていないことに思い至るが、もう戻る時間はない。

麻生君に電話すると現場に到着したらしく、快く輸送を引き受けてくれる。
その後にいらしたお客様もタクシー代はこちらもちでどんどん移動してもらっている。

12時半、無事開演。なんとかお客様も入り開幕。
その後、東京ミルクホール、チャリT企画、そして我が横浜未来演劇人シアター「男メリー」中山版、裸団光る電気と無事に連続上演。
お客様もほとんど大きな問題もなく移動してたくさんいらっしゃってくださる。
まるで特殊部隊の隊長のように、ひたすらいろいろ手配指示して、それもまた皆が嫌な顔ひとつせずにやってくれ、あとは挨拶でひたすら謝り続ける。
最後の公演が終わってお詫びの挨拶をした瞬間にお客様からいただいた温かい拍手には胸が熱く痛かった。
それもこれも皆さんの力のおかげです。本当にありがとう。
事務局の杉山さんをはじめ、マシュマロの福岡さん、プロM関係者の岩田さんにも本当に活躍していただいた。そしてもちろん寺十をはじめ未来シアターの面々にもだ。稽古スケジュールも変えさせてしまって本当に頭がさがる。
大橋さんからの留守電「屋根はなくなった」
現場に戻ると、文字通り、屋根はすっかりなくなり、劇場のステージは崩壊し、劇場中が水浸しであった。台風の風がものすごい。また数秒で全身ずぶぬれになる。
合羽などなんの役にもたたない。
天井のなくなった劇場内を強い風が、渦のように舞っていた。
一箇所がきっかけで、全てが壊れたようだ。ダムの決壊と同じだ。
受付部分も崩壊。自然の力を思い知る。
避難していた大橋さんたちとちょっと話をしてからもはやなにもできないのでZAIMに戻る。
稽古場。脱力。
福岡さんや岩田さんも一休みしてゆかれる。
ずぶ濡れだが着替えなど持っていないので体温で乾くのを待つばかり。
今日は結局3回か4回ずぶ濡れになって、そのたび体温で乾かした。
朝から何も食っていないことを思い出して唐揚げ弁当を食う。
稽古がどんどん進んでいるのが嬉しい。
稽古場にも見学に来てくださる方がいらして励みになる。
稽古の写真。だいこさんの写真を撮る。
終了後、かっぽうぎに行こうとしたら閉まっていたとのことで、がーどした。
私も、足の痛い愛ちゃんやタマちゃんを車で降ろしてから合流。
いろいろ今日も話の内容は充実している。
まだまだ飲む気満々な人々を寺十家で降ろして帰還。

28日日曜日。
朝早くから車でコンテナへ。
崩壊の惨状を写真に撮る。
片付け。
皆で力を合わせる。夜の俳優座の公演までにはなんとかせねばならない。
私は杉山さんを乗せてZAIMへ。
今日も避難的開催が決まったフリンジ7の運営。
告知に一日あったせいか、お客様の混乱もほとんどなかった。
トップのヒゴトのかわいい芝居。
tkoの滅茶苦茶楽しいライブ。ホーンセクションの入ったバンドとタップダンスの融合。

このバンドには栗木さんも参加。かっきいねぇ。
その後は、今回のフリンジ7目玉の流山児事務所+パラダイス一座。
冒頭の本多社長と肝付さんの会話から、瓜生さん、中村さんに続き文学座の戌井さんの登場まで、いやはや齢は重ねられても皆さんお元気である。笑ったなぁ。
無事終了。中華街に行きたいとおっしゃるので同發の周さんに電話。
お店まで皆様を案内して出てきてくれたご主人の周ちゃんにも(感謝!!)紹介してご挨拶してZAIMに戻る。
稽古。録音中。あとでしのぶちゃんに言われたが写真撮ればよかった。頭が回らなかった。
ともかくフリンジ7無事終了。相鉄の嶋さんも来てくれた。
脱力。
会場だった本館3階の借りたPA設備などを一人で片付けて搬送。
ちょっとグッタリする。
食事休憩。ロイヤルホールの前の麺恋亭でワンタンメン。
疲れているせいか味がしない。ワンタンは美味かった。
夜は通し。
コンテナ劇場の天井なしでやっている「家」公演も気になったが、ここを離れるわけにもゆかない。そんな気持ち。
冒頭のだいこさんの場面が始まった瞬間に、白い蛾が稽古場を飛んだ。
「あぁ、メリーさんが観に来たのかな」と思った。
終了後、片付けとミーティング。
飲み屋は、さくら水産。
寺十やタクヘイさんの話などとっても中身が濃かった。
こうして話が出来るのは本当に重要だよ。
坂本さんや疲れきっている筈のだいこさんも来てくれている。
みんな話をしている。離れがたいのもあるだろう。もっと話をしたいと思っている。
そんな時間。
たまちゃんのおかげでさくら水産にもポスターを貼っていただけました!!
感謝です。
何人かと車に乗り込み、動かすと突然一羽(あえて羽と書きますが)の大きな白い蛾がフロントガラスにとまって、こちらをのぞいて見ているようだった。
飲み屋でも稽古場の白い蛾の話をしていたのでちょっと不思議な感じだった。
「メリーさんが来てる」と言うと、寺十が「どうしてもそう重ねたいらしいな」と笑った。
その蛾は、下からガラスを叩いてもなかなか離れず、馬車道の手前あたりまでついて来ると、そのまま急に夜闇の中に舞い消えていった。
京急に乗るメンバーを黄金町で降ろして、寺十、石丸、中山の3名と共に川沿いの道、かつて「ちょんの間」と呼ばれて女達が立った道をゆっくりと走ってみる。
闇の中を横切る影。
そこには確かにその気配と残像が、静かにまだ時間軸の外側で息を潜めているかのようだった。闇の中で。

写真は崩壊後の現場から、青空。
なにがあってもやらねばならぬ。走らねばならぬ。

2007年10月28日(日)
 大西一郎

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